さいたま国際芸術祭2020美術と街巡り事業 再開編
主催:美術と街巡り事業実施委員会

金沢健一

振動という出来事−鉄板上のコロナ

2021年 3月9日(火)〜3月14日(日)
11:00〜19:00(日曜17:00まで)


「振動」という現象を、鉄という素材をとおして捉えてみる。例えばバネで浮かした 9mm厚、直径90cm の円形の鉄板をゴムボールで擦ると、鉄板は唸るような音を立てて振動する。「振動=音」の体感である。鉄板はどのように振動しているのだろうか ? 白い粒子を鉄板の上に撒いて振動させると、白い粒子は凝集し不思議な模様が現われる。この現象は「クラドニ図形」と呼ばれ、200年ほど前に、ドイツの科学者クラドニ (Chladni) により発見された現象である。ゴムボールの大きさや鉄板の擦る場所、さらに鉄板の形を変化させると音と共に、この図形も変化する。本展では、クラドニ図形の形や変移を Corona( 王冠あるいはウイルス ) に見立ててみる。たぶん今でしかできない展覧会であろう。立体、写真、映像、パフォーマンスをとおして、「振動」に潜む形や音を体験し、科学の目と芸術の目の交わりの領域を探る。(金沢健一)